Diary

国府弘子DiaryのCDジャケット画像

9thアルバム
ダイアリー/Diary
VICJ-60210/3,045円(税込)/1998年10月7日発売

<収録曲>
01 ゴーイング・ゴーイング・オン
02 リマインド・ミー
03 ドライヴ・マイ・カー
04 ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
05 タルカス a.噴火 b.ストーンズ・オブ・イヤーズ
06 サンセット・ビーチ
07 アイ・ドゥ・ホワット・アイ・ウォント
08 アプレ・ラムール(ミッシング・ユー)
09 シティ・オブ・エンジェルス

<参加アーティスト>
国府弘子(p)八尋洋一(b)村石雅行(ds)斉藤ノブ(perc)赤木りえ(fl)梶原順(g)大坪稔明(kbds)杏里(vo)BIG HORNS BEE フラシュ金子(ts.) オリタノボッタ(bs.)河合わかば(tb.)小林フッシー(tp.)下神ヒマラヤン(tp.)

FROM L.A. to JAPAN
心のままを綴ったハート・ウォーミングな9編7ヵ月のロサンゼルス生活で充電完了、
その報告を従来の暖かいメロディと、パワーアップした新境地でお届けする
国府弘子の「ロサンゼルス音楽日記」とでもいうべき入魂の作品。
ピアノの音色 が好きだけどクラシック意外の何かを探してるあなたにもポップスやジャズやロ ック、
ジャンルは何であれ、とにかくぐっとくる音楽にひたりたいあなたにも、 ぜひおすすめしたいアルバムです。

ダイアリーに寄せて・・・国府弘子
ロサンゼルス滞在中の7ヵ月の間に交流のあったミュージシャン、パトリース・ラッシェンの「Remind Me」を私がブラジル系のリズムでアレンジして、それを杏里に歌ってもらったり、サンタモニカでのライブに訪ねてきてくれたプログレ王のキース・エマーソンとの交流でアイディアの浮かんだEL&Pの名盤「Tarkus」からのメドレーをピアノトリオでがんがんに演ったり、ロサンゼルスのドライブライフの毎日の中、ラジオのClassicRockのチャンネルで久々に何度も聞いたのがきっかけでむちゃくちゃビートルズフリークの自分を再認識してしまい、自分流に料理して演ってみたビートルズ2曲。
「Lucy in the Sky with Diamonds」は神秘的なピアノトリオのジャズで、「Drive My Car」は元・米米クラブのホーンセクションBig Horns Beeを迎えてにぎにぎしくロックンロールしてます。
その他ロスにいる間に創ったオリジナル数曲を加えた、計9曲。

私のロサンゼルス・音楽日記、という、まあ白状しちゃうと誰のためより自分のため!!!!みたいなアルバムでございますが、今の時代、どうにもこうにもオトナがしみじみと鑑賞できる音楽は日本においてほとんどスミッコで細々と生息している状態ですから、そういう娯楽を探している方がいらしたら、ぜひこのアルバムを聴いてみていただきたいな。
音はじかに聴いてもらうとして、ここではアルバムのインナー用に書いた各々の曲のためのショート・ポエムというか日記、のようなものを皆さまに大公開!!!
これを読んで、どんなサウンドか、どんなメロディか想像してから音を聴いてみるというのもよろしいかと思います。

<Going,Going On>  (by Hiroko Kokubu)
Dear Friend・・・
手紙ありがとう。大変だったね。
そんなときなのに、遠い所にいる私のことをあれこれ心配してくれるなんてほんとに変わらないなあ。
こちらで私もいろんなこと考えます。
もし時間を戻せたら、やり直したいことはいっぱい。それでも時は巡り、先に進むことしかできないわたしたち。
今思うことは、こうしていっしょに笑ったり泣いたりする仲間がいる、独りじゃない・・・ってこと。ね?
Always Yours, Hiroko

<Remind Me>  (By Patrice Rushen )
ロサンゼルスが私に、二人の素敵な女性ミュージシャンとの出会いをくれた。
小柄でキュートな、憧れのキーボーディスト、Patrice Rushen。
プレイヤーとして女性として本当に魅力的。ジャズを愛し、音楽全部を愛している。
E-Mailをやりとりしながら彼女のライブをよく観に行った。
そして杏里。ナチュラルで優しくてどこか潔い、歌声そのままの人柄。
同世代の音楽仲間として、そして同性としておおいに共感する等身大の彼女とシーフードを食べながらいろんなことを語り合った。
Thank you, Los Angeles !

<Drive My Car>  (By Beatles )
「O.K, I’ll be there soon.」
電話を切るなりバッグとサングラスをつかんで家から飛び出し、アボガドの実が落ちてくるガレージから車を出す。
道端で話し込むラティーナたちを蹴散らして、さあ出発。
ラジオをつけると”Classic Rock”のチャンネルから突然のBeatles。
近所のカフェテラスの前で顔なじみのウェイターが曲に合わせて叫ぶ・・”Baby , You can drive my car !”
彼も私と同じビートルマニア。それじゃこっちもお返しに。
“Yes, I’m gonna be a star !

<Lucy In The Sky With Diamonds>  (By Beatles )
遠いところに来ているの?
それともずっと昔からここにいるの?
わたし、ここを知ってる。
時間は止まってしまったの?
それとも光といっしょに飛んで行ってしまったの?
人生をのぞく万華鏡で、さっきあんなにたくさんのことが起こったのに、目覚めるとそれは一瞬のことだった。
すごく喉がかわいてグレープフルーツジュースを飲んだ。

<TarkusよりEruption~The Stone Of Years> (Keith Emerson )
Santa Monicaでライブをやっていたら暖かいまなざしの不思議な人が話しかけてきた。Keith Emerson。ELP時代にステージで炎のようだったプログレ王とは思えないもの静かな男の人だった。
それがきっかけで20年以上も前の名盤「Tarkus」を知って、ふるえるほど感動した。
日本のヨウイチさんとムライシ君に電話すると「また今ごろになってとんでもない曲見つけちゃって!」とあきれながら、うれしそうだった。
彼らとわたし流の新しいタルカスをやってみたいなと思った。

<Sunset Beach>  ( By Hiroko Kokubu )
砂だらけのサンダルを片手に持って、ぼんやり桟橋にたたずむ。
風がひんやりと、冷たいローションみたいにほてった肌にしみこむ。
釣り人と、カモメと、・・・そして波の音。

<I Do What I Want>  ( By Hiroko Kokubu )
どうしても譲れないことってある。
こだわりだすとまた振り出しに戻ってしまうのがわかっていても、やっぱり気づかないふりはできない。
やっかいだけど、ちょっぴり見直したりもする、そんな自分のこと。
理屈は知らない。好きかキライか。
女は皆そういう風に生きている。
Lenise はいつも言ってた、”Hiroko, やりたいようにやるっきゃないわ!”

<Apres l’Amour(Missing You)>  ( By Hiroko Kokubu )
キャンドルの灯が燃え尽きたのも気づかず、息をすることも忘れて眠ったそれは美しい死のような静寂の時間。
安心しきって、満ち足りて。
目覚めたときからまた旅が始まるというのに。
永遠に続く想いというものを・・・
時を超え、距離を超えて変わらない想いというものを・・・
ずっと探し続けて焦がれ続けてまだまだ旅は終わらない。

< City of Angeles>  ( By Hiroko Kokubu )
ラジオから流れるBen Folds Fiveと熱いシャワーで、また新しい一日が始まる。
オレンジをしぼって、ズッキーニのパスタでブランチを終えたら車を走らせマリブのスタジオへ。
ゆったりと流れる海岸沿いの景色。
信号待ちで並んだ車の窓から気持ちよさそうに首をのばすゴールデンリトリバーと、一瞬のアイ・コンタクト。
ああ、わたし今、ほんとにリラックスしてる。心の奥に凍らせた切ない記憶すらやさしい気持ちで懐かしくとりだせる。
胸にしみる郷愁、そして新しい日々への希望のメロディ・・・
From Los Angeles. 98. Spring.

Love, Hiroko